写真=長舟真人 文=萩原晶子
上海は「猫咖(ねこカフェ)」と「ねこのいるカフェ」の基準が曖昧だ。普通のカフェと思って過ごしていると店の奥からねこが出てきたり、外からねこが帰ってきたりすることがある。そのため、個人的に決めた「上海のねこカフェ」の基準は、「普段触れ合えないような純血種のねこがいる店」ということにした。
1934年竣工のロシア正教会(現:思南書局・詩歌店)の裏手にあるこの老房子内に位置
皋蘭路の隠れ家店「Le Chaton Coffee House」は、常時7〜8種類の純血種が在籍しているねこカフェだ。店舗は1930年代に建てられた老房子内にあり、その静かな隠れ家空間とコーヒー目当てにくる人も多いという。ねこに構わず友人と談笑している利用者もいるほどだ。看板ねこはペルシャの煤老板(1歳/店長)。そのほか、イングリッシュショートヘア、エキゾチックショートヘア、マンチカンなどが広いフロアを自由にかけまわっている。
店長の煤老板
「とにかくねこが好きで」というオーナーの仕事の徹底ぶりも印象的だ。店内には多頭飼い特有のにおいが一切なく、フロアは抜け毛やほこりがまったく見当たらないほど清潔。どのねこもつややかで健康的だ。毛が少なく服の着用が必要な品種・デボンレックスには、「小型犬用のXSでも大きくて」とのことで子供服の袖を使った手作りの服を着せている。そのサイズのぴったり感にねこへの想いの強さを感じる。
袖を着たデボンレックス。普段交流できないねこと触れ合うことができる
その上で、「カフェ」としてもきちんとおいしいこだわりコーヒーと手作りケーキも準備しているプロフェッショナルぶり。口コミアプリでは、カフェのジャンルで淮海路エリア3位、カフェの環境部門では1位にランクされているほど。
あえてねこに構わず、思い思いの時間を過ごす利用者も
上海でも、雑種派と純血種派の間に壁ができ始めているのを感じる。だが、どちらもねことして生きているのには変わりがない。「Le Chaton Coffee House」のねこの飼い方、ねこへの愛は、雑種の保護猫を飼う筆者も学びたいと思った。
広々とした空間でねことともにくつろげる
上海市皋蘭路16号「思南書局」裏手2階
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